第4章 「採れない」「辞める」「育たない」組織の課題⑤
社員それぞれの役割が不明確
「ウチは手を挙げれば何でもできる会社なんだけど、自分から動こうとする社員がいない」
経営者が社員の主体性、積極性のなさを嘆くという構図は前項と似ています。そしてこの問題に関しても責任は社員ではなく、結論を言えば、一人ひとりの役割が曖昧なこと、評価制度が未整備なことがその要因です。(P101)
役割と評価を不明確のままにしておくと、心理学の世界でリンゲルマン効果(社会的手抜き)と呼ばれる、「自分が頑張らなくても誰かがやるだろう」という集団意識が社内に蔓延してしまいます。(P103)
エーリッヒ・フロムの名著に『自由からの逃走』があります。
近代世界において「自由」を与えられた諸個人が、自由に生きることに伴う重圧に、不安に耐えかねて、自らが自由を放棄するに至った過程を社会心理学・社会史的に描き出しているフロムの名著『自由からの逃走』。
なぜ今こそ読まれるべき書なのか? 本書は単なる解説書ではない。
孤独と不安が蔓延する時代に、「強いリーダー」を求めてしまう罠と「人間の本性」を暴いた書から、危機の時代を生きる知恵を学ぶ。(書評より)
最近の会社では、ブラック企業でない限り、「本音なんか言わさないぞ!」とか「言われた通りの仕事をしておけ!」なんかあり得ないです。
そんな会社だったら、とっとと辞めた方が良いです。
本音を言ってもいいですよ😙 どんな仕事がしたいですか😙
と問いかけても、まず明快な返答は帰ってこないでしょう。
それは、さすがに言った以上は、自分に責任が返ってくるだろう。ということが分かっているからです。
「自由からの逃走」ではないですが、自由に本音を言ったり、どんな仕事をしたいか自由に選べるのは怖いです。自己責任が追いかけてきます。
「ほら、ウチの会社って、自由にモノが言えないんだよなぁ」とか「やりたい業務なんか言っても、絶対やらせてくれねえんだよなぁ」と愚痴を言っているのが一番楽です。
これにひきかえ、評価の問題はとても重要です。(続く)