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コンテナスロープのインターアクション

とても強い“小さな会社”のお話 ⑪

◆強さの秘訣② 身内意識

 

私より半年前に入社したSさんも私も同じ方の紹介で入社しました。

その方は社長の長年のビジネス仲間でした。

Sさんは直接、私は先輩のAさん経由でしたが、直接的には同じ方による紹介でした。

ビジネス仲間ということで互いに協調関係でしたが、本格的にビル事業に乗り出した頃から互いの間のバランスが微妙になってきました。

仲良しさんとはビジネスを一緒にしない方が良いのかもしれません。

当方の利益が先方の利益にならないような事態が度々起きるようになりました。

先方の利益が当方の利益を侵害することも起き始めました。

そんな時、困るのは紹介を受けたSさんと私でした。

Sさんは、微妙に先方の利益を代弁するような発言が目立ってきました。

社長も薄々感じていましたが、先方との仲を壊したくないので、感じない「ふり」をしていました。

番頭のTさんは、その辺の状況をつかむのに長けていたので、Sさんに対する不信感を丸出しにしていました。

さらに悪いことに、SさんはY顧問がうるさくて面倒臭いので逃げ回っていました。

Y顧問は確かに厳しい人でしたが、人一倍人情に厚い方でしたので、何度もSさんを引き寄せようとしましたが、徐々に距離は広がっていきました。

Tさん、Y顧問、私が心配しているうちに、とうとう社長から「Sに辞めてもらいなさい」という指示が出てしまいました。残念な事態でした。

 

しばらくして、社長と先方との利害の谷間に私が立つという事態が発生しました。

不動産の世界ですから、一つの案件での利益額はとても大きくなります。

あるビルを売却するという話になりました。

私は当然当方の利益を優先する動きをしました。その結果、先方の利益が無くなってしまうというケースが発生しました。オールorナッシングです。

当然、先方は怒りました。激怒といってもいいくらいでした。

その会社に呼び出され、しこたま怒られました。

「キミはどっち向いて仕事をしてるんだ!せっかく紹介してやったのに、恩義を感じないのか!?」

先方の理屈からは間違っていませんが、当方の理屈からは大間違いです。

しこたま怒られて事務所に戻ると、社長、Tさん他の従業員が待っていました。

木曜日の夜ですから、みんなで楽しい会食の日です。

全員、私の帰りを待っていてくれました。

「何と言われてきたのだ?」

正直にありのまま話しました。

「そうか。お前はどう答えたんだ?」

正直にありのまま答えました。

「そうか。先方のうちの担当者を呼び出せ。」

「えっ!今からですか?」

うちの担当者を呼び出しました。私の大学の後輩です。

彼は、これまでの事情がまったく分からないので、「何事ですか?」と言って事務所に来ました。

「こらぁ~!!!!!!!! うちの者をよく怒ってくれたな!!!!!!」

と言って、手に持っているボールペンを机に叩きつけました。

無残にもボールペンが真っ二つに折れました。

事情が呑み込めない担当者は、ほうほうのていで事務所を出ていきました。

それから、何ごともなかったように食事会に繰り出しました。

ようやく、「身内」の一員になれたと感じました。

そりゃ社長から怒られることは山ほどありましたが、自分のためによその会社の人間を、しかもマジに怒るところを見せられたら、何としてでもこの会社の役に立とうと思います。

「身内意識」が良いのかどうかは分かりませんが、確実に“小さな会社”を強くする要素のひとつです。